この記事を読んでいるあなたは、マンションの売却を考えていて、できれば少しでも高く売れるようにタイミングを考えたいという方が多いのではないでしょうか。
事実、マンションに限らず、不動産はタイミングが価格や売却期間などに大きな影響を与えます。
誰もが欲しがるような希少性の高い不動産であれば、そこまで深く考えなくてもいいかもしれないですが、そんなマンションの方が少ないです。
どちらかというと、市況やその他の要因などに影響を受けやすいマンションの方が大多数です。
ではそのタイミングはどのように考えていけばいいのでしょうか。
そこでここでは、様々な切り口から考えるマンションのタイミングの考え方・見極め方についてお伝えしていきたいと思います。
マンションは市況環境の影響を受けやすい
なぜマンションの売却において、タイミングが重要になるのかというと、マンションは一戸建てや土地などの不動産と比べて、市況環境の影響を受けやすいと考えられるからです。
一戸建てや土地などに比べ、賃料が得やすく流動性の高いマンションは不動産の中でも比較的金融商品に近い値動きをします。
なぜかといえば、実需と呼ばれる自分やその家族が住むニーズよりも、投資として賃料を得る目的や転売して利益をあげることが目的で購入されることが多いからです。
とりわけマンションの中でも、高層マンションやタワーマンションにおいてその傾向は顕著で、金融市場が下がれば、間違いなくマンション市場も下落します。

市況状況からみるマンション売却のタイミング
多くの方が気にするのは、やはり今のマンション市況ではないでしょうか。
出来れば一番相場としても高いタイミングで売りたいのは、当然のことです。
問題は今のマンション市況がどうなのか。
実際に公表されているデータをもとに、今のマンション市況を読み解いていきたいと思います。
首都圏・近畿圏は高止まり、中部圏は上昇中
(出典:東京カンテイ 『中古マンション70㎡価格推移』2018年・年間版)
このグラフを見ると、2016年を境に首都圏と近畿圏では、価格の上昇率に一服感が見られます。
一服感というのは、価格が上がりきって、上がり幅が縮小している状況です。
一方で中部圏では、2016年から一定して上昇しているのが見て分かると思います。
首都圏では、オリンピックを境に市況環境が変化しそうな様相を呈していますが、中部圏はリニア開通や相次ぐ都市部での再開発、そしてもともとの価格差によって、まだ上昇の余地はあるように感じます。
オリンピックを境にした市況環境の影響についてはこちらの記事もご参照ください。
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売却期間も長期化
その他、マンションの市況環境を考える上で、もう一つ見ておきたい指標が、価格乖離率と売却期間です。
価格乖離率とは、販売価格と成約価格との差のことで、これがここ最近は緩やかにですが拡大してきています。
また売却期間も長期化してきており、首都圏・近畿圏・中部圏ともに3~5か月近くと長期化してきています。
この指標でわかるのは、需要と供給のバランスで、このデータから分かることは需要よりも供給が強くなっているということです。
つまり、買う側は価格が高騰していることから、やや購入に対して慎重になっていることがうかがえます。
今の市況環境は、皆がまだまだマンション価格が上昇すると考えているのではなく、何かきっかけがあれば下がるかもしれないと考えている方が多いという状況です。
実際、海外情勢を中心にここ最近は弱含みなので、ちょっとしたきっかけで一気に下げに転じる可能性はあります。
金利情勢からみるマンション売却のタイミング
市場環境だけでなく、マンションは金利情勢によっても売りやすいかが変わってきます。
購入者は予算を考えるときに、最終的に月々の支払いがいくらになるかを計算します。
この月々の支払いは常に一定であったとしても、住宅ローンの内訳をみると元本と利息の部分に分けることが出来ます。
金利が低ければ、その内訳で金利の部分が減るので、元本が大きく(=物件価格が高く)なります。
逆に金利が高くなってしまうと、その内訳で金利の部分が増えてるので、元本が小さく=物件価格が小さく)なります。
今の日本は、日銀が量的緩和といって、目標インフレ率を達成するために、金利を低く抑えているので、世界的に見ても金利は安く済んでいますが、すっでにいたるところに副作用が現れてきており、いつまで続くか分かりません。
金利が上がると、不動産市況にとってはマイナスなので、金利情勢によってもタイミングは大きく変わってきます。
季節からみるマンション売却のタイミング
マンションに限らず不動産には「動く」時期があります。
不動産が動くのは、やはり人が動く時期ですので、年明けから年度末にかけて流通量がピークを迎えます。
そして人の動くタイミングに合わせて売却を考えるのであれば、人が動き出すまえに売却を開始するのがいいと思います。
例えば、年度末のピークに合わせるのであれば、購入を考えている人たちは、年末年始など時間がゆっくり取れるときに情報収集を本格化するので、できれば年内には売り出しの準備をしておく方がいいです。
ただし、同じような考え方をする方は多く、ライバルとなるマンションも増えることに注意が必要です。
後述しますが、物件量が増えるときは、他と比べられることが多くなるので、あまり強気な値付けは、かえって売れ残ってしまうこともあります。
築年数からみるマンション売却のタイミング
築年数で見ると、マンション価格は新築時から徐々に価格を下げていきます。
そして古くなればなるほど価格は下がり、旧耐震基準と呼ばれる1981年6月以前のマンションでは、ここ最近の金融機関の融資姿勢の変化により価格が下がりやすくなっています。
どういうことかというと、旧耐震基準のマンションでは、多くの金融機関が貸出基準を厳しくしており、購入出来る方が減りつつあります。
購入できる人が減るということは、その分価格面にとってはマイナスになります。
逆に2000年6月以降のマンションは、今では標準化している宅配ボックスや床暖房といった設備も整っており、気密性やバリアフリーなど、品質が向上した後のマンションなので、場所にもよりますが、価格はそこまで下がっていません。
その他、マンションが建設されてから25年を超えてしまうと、必要書類がそろわなければ住宅ローン減税や、贈与の非課税枠などの税制優遇が利用できなくなります。
「住宅ローン減税が使える物件」に的を絞って探している買主の方も多くいます。
このように築年数ひとつとっても、売却にとって最適なタイミングの目安にはなるのではないでしょうか。
修繕状況からみるマンション売却のタイミング
通常、マンションは新築のときには販売がしやすいように、修繕積立金を安く設定している傾向があります。
年数が経つごとに修繕箇所も増え、大規模修繕工事の必要性も出てくるので、修繕積立金などのランニングコストが増加します。
あまりにも修繕積立金が上がってしまうような管理組合の状態であれば、売却時にランニングコストの高さが敬遠されてしまう原因になってしまうので、そうなる前に売却してしまうのもアリです。

また大規模修繕工事が始まってしまうと、数か月にわたりマンションが養生シートに覆われて、見た目が悪くなってしまうのはもちろん、日当たりや眺望が自慢のマンションでは、その良さを十分にアピールすることが出来なくなります。
大規模修繕工事の話が総会で出始めたタイミングか、いっそのこと大規模修繕工事が終わって外観がきれいな状態で売却をした方がいいのではないでしょうか。
住宅ローン減税からみるマンション売却のタイミング
もしあなたのマンションが購入した時から住宅ローン減税が適用されていたとしたら、その期間は10年になります。
住宅ローン減税の適用を受けられる時期が終わるタイミングで売却しようと考えている方は意外に多く、また次の購入先で住宅ローン減税を適用できれば、住宅支出も安く済みます。
また先ほども触れましたが、マンション自体が住宅ローン減税を受けられなくなるタイミングがあるので、そのあたりも一つの目安にしてみてはいかがでしょうか?
周辺の販売状況からみるマンション売却のタイミング
一戸建てと違い、マンションは類似物件も多く、ある程度の相場観というものが存在します。
そして周辺の販売状況に影響を受けることも多々あります。
例えば、同じマンション内や、近隣の似たような築年数、間取りなどの物件が同じ時期に売りぬ出されていれば、否が応でも比較されます。
安ければいいですが、高い場合は割高に見えてしまって、その物件が売れるまで売れなくなってしまいます。
出来れば売りに出すときは、周辺の販売状況を確認しながら売却するとよいかと思います。
ご自身のライフプランからみるマンション売却のタイミング
多くの方が、ライフプランのタイミングでマンションを売却されると思います。
転勤や退職など、人生の節目のイベントなどをマンション売却のタイミングにされる方が多いのではないでしょうか。
転勤の場合は、急に決まったりすることが多いので、なかなかご自身でタイミングを見計らうのは難しいのかもれないですね。
ただ住み替えなどで、あらかじめ時期が予測できるのであれば、時間をかけてタイミングを見計らった方が、納得のいく結果になるのではないでしょうか。
プロが考えるマンション売却のタイミングの見極め方
プロの立場から言えば、今の状況はマンションも高止まり感があるので、売却する予定があるのであれば、今は売時だと思います。
この記事を書いている時点では消費税増税や、世界的な経済不安によって先行き不透明感が増してきています。
高止まり感と先行き不透明感は、不動産市場にとっては慎重になる人が増えるので、決していい状況とはいえません。
しかし、これから人口減少や家余りなどの社会問題を考えると、立地やエリアによっては売れるうちに売っておいた方がいいという考え方も出来ます。
相場が上がっている間はまだ売りやすいですが、相場が下がりだすと、売りが売りを呼ぶ状態になるので、価格は一気に下落します。
特に都心などで、実需が伴わない投資マネーがたくさん流入したマンションほど、その傾向が強くなります。
マンションのタイミングを図りつつ準備を怠らない
タイミングを図りつつ、準便も余裕をもって進めるようにしてください。
いくらタイミングが良かったとしても、準備がしっかりされていないがために、チャンスを逃したり、想定より安く売却されてしまうことも考えられます。
何事も準備が8割で、その物事の成否が変わると言われています。
マンションの売却についても事前の準備を怠らないようにしましょう。
マンションの売却の準備については以下の記事も参考にしてください。
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マンションを高値で売るためには一括査定
最後にマンションを高値で売るためのポイントとして、一番いいのは一括査定サイトを利用することです。
売却査定は、業者によって全然変わってきます。
業者によって抱えている顧客、また得手不得手もあるので、色んな業者に依頼して、査定してもらって話を聞くのが一番です。
また業者に問い合わせをする前に、あなた自身が知識を付けておく必要があります。
不動産業者との契約形態や、注意点などについては以下の記事も参照にしてください。
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