自宅を売却したいと思った時、どんな書類が必要になるのでしょうか。
取引において必ず要るものや、できればあった方がいいものまで、重要度も変わってきます。
そこでここでは、自宅を売却したいと考えたときに確認しておきたい必要書類を、物件種別ごとに説明していきます。
多岐にわたるので、メニューの物件種別をクリックすると、目的の物件種別にジャンプしますので、ぜひご活用ください。
自宅の売却で、すべての物件で必要になるもの

権利証
権利証は、法務局からその所有者に発行される、権利を証する書類のことです。発行されるのは一度だけで再発行はされません。
昔は和紙に手書きされたものや印字されたものが主流ですが、今は登記識別情報と呼ばれる番号が発行されるのみです。
権利証が無い場合、不動産を売却する際には別途本人確認が必要になります。本人確認は免許証などではなく、司法書士が作成する書類です。
権利証がなくても売却することも出来ますが、別途手間や費用がかかりますので、ない場合はあらかじめ不動産仲介業者の担当者に相談するようにしましょう。
マメ知識
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者へ、自動的に納税通知書が届くようになっています。
納税通知書には、固定資産税・都市計画税の税額や、固定資産税の評価額(固定資産税の計算をするときの評価額、一般的な相場とは違う)が記載されています。
買主にとっては、固定資産税の税額を把握したり、諸費用の計算にも使うので、あった方が親切です。ただし、仲介業者が事前に委任状をもらって、役所などで取得してくれるところもあるので、手元にない場合は仲介業者に相談してください。
購入時の売買契約書や重要事項説明書
購入時の重要事項説明書は、これから売却する際の参考になる程度ですが、売買契約書については、購入時の税金を計算するときの根拠として利用されます。
売却時の利益に対して税金(譲渡所得税)がかかってきますが、利益を計算するときに利用されます。もし紛失して無い場合は、譲渡所得税が高額になる可能性もあるので、事前に税金のシミュレーションや資金を確保しておくことが必要になります。
売却時の税金の計算については、以下のリンクも参照にしてください。
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不動産の売却益と税金の計算方法 いったいどんな種類があるの? - 不動産売却ABC
不動産を売却するときに、利益が出てしまったらどうやって税金を計算をすればよいのでしょうか。不動産の現役のプロが分かりやすく内容とそのプロセスを説明しています。また損失が出てしまった時についても言及して ...
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購入時の領収書など
購入時の領収書なども、売却の時に必要になるものではありませんが、売却した後の税金の計算に利用します。
引っ越し代金以外で、物件購入にかかった税金や手数料、リフォーム費用などは購入時の経費として算入できます。
あればそれだけ税金の計算をするもとになる数字が低くなるので、あるに越したことはありません。
印鑑証明書
印鑑証明書は、通常登記の際に必要になります。ただし、相続などの場合で、相続人が複数名いる場合で、代表の一人に取引を委任する場合など、委任状に印鑑証明書を添付する必要があります。
印鑑証明書として有効としてみられるのは、発行してから3か月以内のものに限られます。
所有者全員の同意
所有者が複数名いる場合は、必ず所有者全員の同意が必要になります。
夫婦の共有持分であればともかく、相続の時や遠い親戚の名義が入っていたりすると、揉めて売買がうまく進まない可能性もあります。

住宅ローンなど借入の返済証明書
もし住宅ローンをすでに完済しているのであれば、金融機関から返済証明書といった類の書類が届きます。
この証明書をもって、抵当権の滅失登記といって、銀行の担保権を外す登記を行うのですが、登記をせずにそのままになっていることも良くあります。
もし手元になければ、再発行が必要になりますが、時間がかかるため、後から慌てないように事前に取り揃えておきましょう。
ちなみに住宅ローンの残債が残っている場合は、一般的には売却代金をもって残債を返済し、所有権の登記と合わせて滅失登記を申請する場合がほとんどです。
マンションの売却で必要になるもの
すべての物件で必要になるものと、物件種別に応じて必要になるものに分かれます。ここから物件種別ごとに必要になる書類について説明していきます。
管理規約や使用細則
マンションの管理規約や使用細則です。購入時に受け取っている場合がほとんどです。
紛失していても、仲介業者が管理会社から取り寄せることも出来ますが、数千円かかるのであると喜ばれます。
総会の議事録など
総会の議事録は、そのマンションで何が起こっているかを把握するのに役立つ書類です。議事録は管理会社から取り寄せることができないため、これも保管していれば喜ばれます。
長期修繕計画書
同じく管理組合で保管されていますが、購入時や修繕積立金の見直し時などに配布されています。
マンションによっては無いところもあります。
購入時のパンフレット
購入時のパンフレットにはマンションの部屋の広さや、物件全体の概要が記載されています。
こちらも東京カンテイなどのデータ保管会社から購入することも可能ですが、同じく費用が発生するためあると喜ばれます。

室内リフォームの履歴が分かるもの
もし室内のリフォームをされているのであれば、その当時の見積書や領収書が残っていれば一番良いですが、無くても施工した時期や箇所などが分かっていれば大丈夫です。
なお、所有期間中のリフォーム価格も譲渡所得税の計算の時に経費として参入できますので、領収書や契約書があった方が税金が安くなります。
戸建の売却で必要になるもの
設計図面
必ずしもなければいけないものではありませんが、ある方が好ましい書類です。
特に2000年6月以前に建築された木造の建物や、鉄骨造や軽量鉄骨造については図面が無いと、買主が減税や融資利用における制限を受けることがあります。
建築確認申請、確認済証、検査済証
設計図面は建築確認の申請書類に添付されていることが多いです。「建築確認申請書」とは、家を建築するのにあたり自治体に申請をするものです。
自治体はこの申請(建築計画)をチェックし法令上に問題がないかを見ます。そしてその検査に合格した時に発行される書類を「確認済証」と呼び、この書類が発行されていなければ建築自体を行うことができません。
そして実際に建築されて、計画通りに建築されたかチェックを受けて、その検査に合格すると発行される書類が「検査済証」と呼ばれるものです。
検査済証の発行を受けることは任意とされていますが、木造や軽量鉄骨造の戸建なら築20年、鉄骨造やRC造の戸建なら築25年以上たっている場合は、この「検査済証」が無いと住宅ローン減税や、住宅購入時の贈与税の非課税枠を利用することが困難になります。
検査済証があるかないかは、場合によって価格にも影響をもたらすので、所在を確認しておきましょう。万が一なくても自治体の役所に保管されていることもありますので、仲介業者の担当者に相談してみてください。
耐震診断報告書、耐震改修工事の内容が分かるもの
もし耐震診断や、耐震改修工事を行ったのであれば、その時の診断書や工事の内容などが分かるものを用意してください。耐震改修工事をして現行の耐震基準に適合していれば、先述の「検査済証」が無くても、住宅ローン控除や住宅購入時の贈与税の非課税枠を利用できるので、プラス材料になります。

リフォームの内容が分かるもの
もしリフォームをされているのであれば、その当時の見積書や領収書が残っていれば一番良いですが、無くても施工した時期や箇所などが分かっていれば大丈夫です。
特に外壁や雨漏り関係は、もっとも聞かれる質問のひとつなので、しっかり答えられるようにしておきましょう。
なお、所有期間中のリフォーム価格も譲渡所得税の計算の時に経費として参入できますので、あった方が税金が安くなります。
確定測量図
これまでに土地の測量を行った場合は確定測量図というものがありますので、それを用意しておきましょう。
もし測量図がなく、また境界線の目印にもなる「杭(くい)」も残っていない場合は、引き渡すまでに売主の責任と費用負担で確定測量を行うことが一般的です。
もしなければ引き渡しまでに時間もかかりますので、事前に仲介業者の担当者に相談するようにしましょう。
土地の売却で必要になるもの
確定測量図
戸建と同じく測量図があるかどうかを確認しましょう。
無かったり、あったとしても日付が古い場合は、再度行うことが多いです。

マメ知識
境界が確定しているというのは、隣地の所有者や道路の所有者である自治体が立ち会って、その境界を確認し、その証拠として印鑑証明書付きの書類を作成し法務局に提出するののです。
現況測量では、あくまで作成者のつくったものであり、周辺の地権者が同意していない状態のものをいいます。
住宅は現況測量図があれば建築することはありますが、後々のトラブルを防ぐ意味でも確定測量図を作成しておくことが重要になります。
滅失登記の確認
今は更地であったしても、過去に建物があって途中で解体されている場合、現実には建物がなくても登記上は建物が残ったままの状態になっていることがあります。
通常は建物を解体した時に業者から解体証明書といった類の書類を受け取りますので、それをもって滅失登記という登記申請を行うようにしてください。
登記が残っているかどうかは、法務局にいって調べるか、もしくは固定資産税の請求書についている課税明細書を見ると分かります。
分かりにくい場合は仲介業者の担当者に相談するようにしましょう。
まとめ
自宅を売却する時には、物件の種別によって必要になる書類が変わってきます。
また共通する権利関係の書類など、一通り目を通していただいて、事前にその所在をチェックしておくことをお勧めします。
後回しにして、取引に時間がかかてしまい、トラブルになることもありますので、事前にチェックして無ければ仲介業者の担当者に相談するようにしましょう。