








こんな風に感じている方、意外と多いのではないでしょうか?これから少子高齢化がいよいよ進み、家余も深刻になってきます。
実家が都心部だったり、駅近物件であれば、活用の仕方もあるのでしょうが、私のように田舎にある場合、ゆくゆく頭を悩ます問題に発展するかもしれません。
実際の業務でも、相続案件は増えてきていて、相談も増えてきています。
ここでは、そんな現実に起こっている実家の空き家問題についてまとめてあります。
今すでに相続が発生している、今すぐではないが将来的に発生する予定のある方は、ぜひこの記事を読んで対策を考えてください。
実家の処分に困る子供たちが増えてきている!
私も含め、全国で実家の処分に困る方たちが増えているそうです。
実際、私の母親も、その親(私の祖父)の相続で、よく分からない山林が出てきて、処分するのに苦労していました。
相続の時に、不動産を整理していて初めて親も含めた兄弟はこの事実を知ったそうです。
母親の実家は、弟が今でも住んでいるので、特に処分には困りませんでしたが、周りには空き家も増えてきているそうです。
実際自分が育った家ですし、思い出も詰まった家ということで、特に何もせずにそのままになってしまっている方も多いように感じますが、これからのことを考えるとそこまで悠長に構えていられる時間はありません。
これからの時代、処分できるならまだマシな方で、処分したくても処分できない不動産がたくさん出てくると予想されています。

空き家の深刻な問題とは?
まず空き家というのは、大きく分けて以下の4つに分類されます。
- 売却用…販売中の空き家
- 賃貸用…入居者募集中の空き家
- 二次利用…別荘など普段使いしない空き家
- その他…上記以外の空き家で、売却活動も賃貸募集も二次利用もしていない空き家
2013年の総務省調査によれば、全国の空き家は820万戸との統計が発表されていて、これは7戸に1戸が空き家という状況です。
上の4つの空き家の中で一番問題になるのは、4番のただ放置されている空き家です。
そして2033年には、空き家は2,150万戸、およそ3戸に1戸が空き家になるという予測データも発表されています。
そういった空き家が全国に多く存在していることで、治安の問題や景観の問題など、様々な問題を引き起こしています。




空き家をめぐる国の動き
日本政府もこういった状況を問題視しており、2015年5月に「空家等対策特別措置法」が
この法律では、空き家の実態調査や所有者への適切な管理の指導など、本来であれば、不法侵入と捉えかねないところについても、自治体に一定の権限が認められるようになりました。
そしてこの法律で適切に管理されていない「特定空家」に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置が適用されなくなるなどのペナルティーが科せられます。
ココがポイント
固定資産税の優遇措置とは、土地の上に建物が建っていると、固定資産税が1/6に軽減されるというものです。土地の固定資産税が安くなって、建物は古くて評価が残っていないのでタダ同然。それもあって、「壊すよりもそのままにしておいた方がいいよね」と考える方も多くいたため、そうならないように対策をしました。
さらに、特定空家と指定されてからも改善が見られないときは、自治体によって行政処分が執行できるようになりました。
行政処分は、最終的なケースですが、強制的に解体をすること出来ます。もちろん、その解体費は所有者に請求します。

空き家にかかる費用とリスク
仮に空き家を何もせずに所有していると、どんな費用がかかり、どんなリスクがあるのでしょうか。
そのまま放置しておくと、先ほどにも言ったように自治体から「特定空家」に指定されてしまうので、そうならないために、管理していくことが必要になります。
それらを含めてかかるであろうコストを下の図にまとめました。
費用の項目 | 内容 |
固定資産税・都市計画税 | 不動産を所有する限り、必ずかかってくるコストです。立地条件などによって税額は変わります。また都市計画税は調整区域にはかかりません。 |
火災保険 | 通常の住宅と違い、空き家の場合はリスクが高いと判断されるため、保険料は高くなります。また地震保険には加入できません。 |
光熱費 | 電気や水道を使用できる状態にしておくと、費用が発生します。金額は大きくありませんが、積み重なると馬鹿にできません。 |
修繕 | 仮に修繕が必要になった場合は、内容にもよりますが、相当な費用がかかることもあります。 |
庭木などの剪定費用 | 大きな庭がある場合は、何もしなければ、木が生い茂ってしまい荒れ放題になります。業者に頼むと広さなどにもよりますが、一回につき数万円はかかります。 |
不法投棄 | 空家は粗大ごみなど、不法投棄のターゲットになってしまうこともあります。犯人が見つかれば費用を請求できるかもしれませんが、見つかれば自分で負担しなければなりません。 |
雪かきなどの費用 | 空家の所在エリアが豪雪地帯だったりすると、冬の雪かきをしなければ雪の重さで家が倒壊してしまうかもしれません。この作業も業者へ依頼すると相当額の費用が発生します。 |

そして、空き家を所有し続ける限り発生する費用や手間以外にも、所有することで発生するリスクもあります。
もし万が一、台風などで空き家の一部が破損し、破損したものが隣家を飛んでしまったり、最悪のケースで人を傷つけてしまった場合、どうなるでしょうか?
実は所有者には非常に重たい責任があり、所有者に仮に過失がなかったとしても、所有者である以上、損害賠償責任をいかなある場合でも逃れることはできません。
依頼していた業者に落ち度があれば、その業者にも請求できますが、業者に責任がなければ、所有者が責任を負わなければいけないことになるのです。
地震などの天災等による事故の発生でも、所有者の責任を認めた裁判例もあるくらい厳しいものなのです。

空き家をどうする?
さて、これまで色々と空き家のことをお話してきましたが、いかがでしょうか?
この話を聞いても、まだあなたは「思い出の家だから」と何もすることもなく、そのままにしておきますか?
空き家を何とかしようとなった場合、主に3つの方法が考えられます。
相続人が住む
これは相続したお子さんが実家に戻って住むというケースですね。これが出来れば特には問題になりません。
購入コストが浮くわけですし、所有のコストは通常かかるものと変わりません。
しかし、都会に出てしまった方や、他に家を買ってしまった方は、なかなか戻るという選択肢は難しいと思います。
賃貸に出す
それじゃあ、そのままにしていても、しょうがないから賃貸に出してしまおうかという方法もあります。
しかし賃貸に出すためには、いったんリフォームなどの初期投資が必要になります。
そのほか固定資産税は貸しても所有者にかかってきますし、何かが壊れたときには直さなければいけません。
また日本では賃借人の権利が非常に強く、万が一処分することになっても、賃借人が出ていってくれるかどうかは分かりません。
そもそも売るのにも困るようなエリアで賃貸の需要があるのかどうかも怪しいところです。
売却する
この方法がおそらく一番実現可能性としては高い方法ではないでしょうか。
これから売りたくても売れなくなるようなエリアに空家がある場合は、言い方が悪いかもしれませんが、安くても売れるうちに売ってしまっておいた方がいいかもしれません。
不動産会社でも地元の業者だけでなく、全国のネットワークがある大手にも依頼するようにしましょう。
よほどいい立地でない限り、おそらく業者も一般媒介による契約をすすめてくるでしょうから、何社かに依頼した方がいいと思います。
特に遠方にいる場合は、窓口が全国にある大手のネットワークは役に立ちます。

空き家バンクはどうなの?
最近、空き家に関心がある人は聞いたことがあるかもしれませんが、空き家バンクという制度があります。
これは自治体が運営している空き家の仲介サービスのことです。
地方への移住者と空き家の所有者をつなぐサービスで、不動産会社にかかる仲介手数料などがかからないメリットがある反面、知名度の低さと利用者の人数の少なさ、また契約や交渉事を本人たちが行わなければいけないというデメリットもあります。
空き家バンクもこれから伸びてくるサービスだとは思いますが、しばらくの間は不動産会社による仲介の方が売りやすいのではないでしょうか?
賃貸に出すのであればともかく、売買となれば色んな法令上の問題が関わってきますので、少しハードルが高いように感じます。
2016年に注目の裁判の判決が出ました。その裁判というのが、簡単にいえば生前贈与で得た土地の所有権を放棄し、国を相手取って引き取ってもらおうという趣旨のもの。つまり土地を捨てることができるのかという裁判です。関係者の注目を集めましたが、判決は原告側の負けとなり、法律上も不動産の所有権を手放すことが難しいことを印象づけました。
空き家問題は待ったなし。早急に対応を検討しましょう
このように、これからの日本の行く末を考えると、空き家問題は待ったなしで私たちの身に降りかかってきます。
対策を早く打てるのであれば、早く打てるほど打てる手も多く、有利になります。
親御さんが住んでいらったり、ご存命の場合なかなかハードルが高いですが、不動産をはじめとする所有物の処分は生前にある程度考えておいた方が、あとあと遺恨を残さずに済むことも往々にしてあります。
すぐに解決するのは難しいかもしれませんが、早急に対応出来る方であれば、早急に対応しましょう。