不動産会社に売却の査定を依頼する前に、ある程度どれくらいになりそうかというのは、おおよそでもいいから知っておいた方が、担当者からの話や交渉も有利に進みます。
ただマンションであれば、同じマンションや似たような条件で売りに出ている物件を眺めていれば、何となく相場観はつかめますが、一戸建ては個別性が強く、不動産情報サイトを見ていてもわかりにくいところがあります。
一戸建ての相場の出し方はずばり「土地と建物」を分けて考えることです。ここではプロも使っている、その考え方とそれぞれの計算の仕方をお伝えしていきます。
土地と建物は分けて考える





ココがポイント
不動産の査定には二種類あって、一般的にまず最初に行うのは机上査定と呼ばれる、物件の住所や広さ、築年といった情報を使って計算する方法です。そのあとに実際に物件を見て修正をかけていきます。今回お伝えするのは机上査定の計算方法です。


戸建の情報
※計算の仕方を伝えるためのダミー物件です。
住所:東京都多摩市市桜ケ丘2丁目
土地面積:100㎡(30.25坪)
建物構造:木造
建築年:築10年
建物面積:100㎡(30.25坪)


土地価格の計算方法



レインズとは?
レインズとは、不動産仲介業者のみが見ることができる物件データベースで、全国の流通物件をはじめ、過去の成約事例も見れるようになっています。



土地情報総合システム
http://www.land.mlit.go.jp/webland/
国土交通省が運営しているサイトで、実際に不動産を取引した人に届くアンケートの結果を掲載したサイトです。ただ個人情報の関係もあり、エリアは限定できますが、それ以上詳細な情報はわからないので、あくまで相場や目安を知るという意味で利用してください。
実際のイメージ




公示価格とは?
公示価格とは、地価公示法にもとづいて土地鑑定委員会が公表する土地の価格のことをいいます。全国の都市計画区域内に設定された標準地について、毎年1月1日時点のその正常価格を複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格です。毎年3月に公表されています。


土地代データ

実際のイメージ



ココがポイント
戸建の価格は土地と建物を分けると分かりやすくなります。土地は条件によって変動はしますが、ネット上に公開されている数字を見ることで、大体の相場のラインはわかりますので、参考にしてみてください。
土地の広さの表示は㎡(平米)と坪の単位があります。坪数を求めたいときは、㎡数に0.3025をかけると坪数になります。逆の場合は0.3025で割れば大丈夫です。
建物価格の計算方法


構造 | 耐用年数 | 平均坪単価 |
木造 | 22年 | 55万円/坪 |
軽量鉄骨造 | 19年 | 60万円/坪 |
鉄骨造 | 34年 | 65万円/坪 |
RC造 | 47年 | 80万円/坪 |




計算方法
30.25坪×55万円×(22年ー10年)/ 22年=907.5万円





ココがポイント
建物については、会計上の耐用年数を使用しますが、最近では使用価値も価格に含まれる傾向になってきています。築25年でたとえ評価がゼロであったとして、きちんとメンテナンスされていればまだまだ住むことはできるという、使用できる価値を考慮したものです。また平均坪単価も、メーカーによってかなりバラツキがあるので、あくまで目安として考えるようにしましょう。
不動産仲介業者には複数依頼すべき?



プラス材料 | マイナス材料 |
南側道路、間口が広い、建物がしっかりメンテナンス・手入れされている、日当たりが良い、閑静である | 全面道路が狭い、間口が狭い、建物のメンテナンスがされていない、リフォームに多額の費用が掛かりそう、日当たりが悪い、騒音や臭気などの環境面 |








ココがポイント
ある程度の相場観を知っておくことで、媒介契約を目的とした査定はある程度排除できるようになります。逆に安すぎる査定も防ぐことができます。そういった意味でも相場を知っておくことは非常に重要ですので、ここで紹介した計算を売却査定をする前にしておくようにしましょう。
最後に
一戸建ての相場を知るのは、何となく難しい気がしますが、土地と建物を分けて考えることで、相場を把握しやすくなります。
ここで紹介した計算方法は、大体の不動産仲介業者は机上の査定の時に使う方法です。実際はレインズの成約事例や自社の成約事例も合わせて査定しますが、ある程度の目安を知っておくことで、仲介業者との話もスムーズに行くはずです。
ただし、値段があってないのが不動産という商品の特性であって難しいところにもなりますので、一社だけでなく複数社の不動産仲介業者に査定を依頼することが望ましいといえます。