家が売りたくも売れない、そんな時代が現実になりつつあります。
なりつつあるというのは、すでに売りたくも売れない物件がたくさん出てきているということです。
筆者の活動するエリアは比較的都会なので、そんなに売れ行きの悪さは感じませんが、たまに紹介などで依頼を受ける地方の不動産状況は結構悲惨です。
家が売れない時代は間違いなく来ます。そこでそんな時代にどんな売却戦略を持てばよいのかを考えてみたいと思います。
2033年には3戸に1戸が空き家に
空き家が社会問題になり時間もたちますが、これからは凄まじい速さで空き家が増加していくと予想されています。
(出典:株式会社野村総合研究所のニュースリリースより)






売りたくても売れない不動産が増える
家が余るということは、つまり売りたくても売れない不動産が増えるというわけです。
しかし、不動産すべてが一律に売れなくなるわけでなく、「需要がない不動産」は売れなくなり、「需要のある不動産」は家が余っている状態でも売れます。
つまり不動産に格差が広がるというものです。
しかも電化製品のように簡単にすてることが出来ません。
ついこの間は最高裁で不動産を捨てたい人が国を相手取って裁判をしましたが、結局は負けてしまいました。
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土地は捨てられるのか 男性、国を相手に「実験的訴訟」:朝日新聞デジタル
■負動産時代 人口は増え、不動産は価値を持ち続けるという「土地神話」を前提とした日本の土地制度が曲がり角を迎えている。地方や都市郊外を中心に、資産価値を失って処分に困る「負動産」が広がる中、国も対策に ...
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不動産を持つということは、所有にかかる様々なコストが発生します。
固定資産税をはじめ都市計画税や維持管理費用、修繕費用など、持っている限り半永久的に発生する費用です。
しかも昨今では空き家対策法として、周辺に危険を及ぼす可能性のある空き家は自治体の判断で解体・撤去ができるようになりました。
解体費が請求されるだけでなく、建物が無くなった土地の固定資産税は6倍になります(土地の上に住宅が建っている場合、固定資産税が1/6になる)。
そしてそんな不動産なんて要らないから売りたくても売れない。ただでも貰ってくれない。そんな時代にすでに突入しています。

売りたくても売れない不動産とは?
それじゃあ一体どんな不動産が売りたくても売れない不動産なのでしょうか?
都心部から離れている街
これからは都会が人口を吸収していきます。仕事や刺激を求め若者たちは田舎をでて、ほとんど戻ってきません。
人口の減少が激しい地方は、商売も上手くいかなくなるため企業やお店の撤退が相次ぎ、どんどん不便になっていきます。
最寄りの駅から自動車で10分以上
駅から離れている不動産も売りたくても売れない不動産となる可能性が高いといえます。
自動運転が本格的に普及すれば分かりませんが、人口減少だけでなく超高齢化が進む日本では、駅から離れた立地は需要がなくなります。
今でも地方で駅から自動車で10分以上のところに新築戸建が販売されて売れていますが、将来のことを考えると不安になります。
ちなみに筆者の顧客には、将来売れなくなるリスクの不動産は絶対に勧めません。
市街化調整区域、居住誘導区域外にある家
市街化調整区域とは、主に農業を促進するエリアで、住宅などが建つのを規制するエリアです。
そして居住誘導区域とは、市街化区域とよばれる主に住宅化を図るエリアの中でも、住宅を密集させて人口の密度を保とうとする、コンパクトシティの考え方を採用したエリアです。
2014年に立地適正化計画を国主導で地方自治体が取り組みをはじめ、かなりの数の自治体が計画に取り組んだり発表をしています。
この中で居住誘導区域外とされたエリアは将来、水道や道路などのインフラや公共サービスの提供が行き届かなくなる可能性が高く、不動産の価値は大きく毀損する可能性が高いです。
自治体のホームページで見られるのでぜひチェックしてみてください。
管理状態の悪いマンション
管理状態の悪いと一言でいっても色々ありますが、例えば賃貸率が高いとか、高齢化が進んでいるとか、修繕積立金が適正に積み立てられていないマンションなどは、エリアに関わらず売りたくても売れない家になる可能性が高いです。
基本的にエリアは先に述べた条件に合致すれば資産価値は低くなりますが、都心のマンションでも管理状態に問題を抱えている物件はたくさんあります。
周辺に入居率の悪いアパートが林立している
少し前に、こぞって建てられた木造のアパート。こんな田舎に入居者なんて入るのか?そんな疑問を感じられずにはいられない集合住宅が林立したエリアも将来的に危ないエリアです。
入居の少ない、空き部屋の多い集合住宅が周辺い多いというのは、資産価値の低下につながります。なぜなら空き部屋が多いエリアでは月々の住居費が安くなるため、買うよりも借りた方が安くなるので賃貸に人が流れるからです。
地方の田舎にこういったエリアは多く存在しています。

家余り時代の売却戦略とは?
こんな家余の時代だからこそ、売却戦略はしっかり持つべきです。
特に売りたくても売れない不動産になる可能性がある不動産はできるだけ早めに売却や住み替えを行った方がいいと思います。
これから高齢化が進み、相続も多く発生してくる中で、こういった不動産を相続することも出てくるかもしれません。
事情が許さないことも多いと思いますが、売れるうちに売っておくというのが、今の時代の正しい売却戦略なのかもしれません。
あなたの実家、今どれくらいの資産価値があるか気になりはしませんか?