マンションや一戸建てなどの不動産を住むことがなく、どうしようか考えたときに、多くの人が考えるのが「売った方がいいのか、貸した方がいいのか」ではないでしょうか?
実際に筆者の営業の現場でも、よく受ける質問の一つです。
どちらが有利かというのは、所有している不動産やその方の状況によって変わります。
そこでここでは、それぞれに有利になる状況や、不動産などを様々な視点で考えていきたいと思います。
不動産は売るか貸すか、どっちが有利?




不動産を売却するか、賃貸として貸すか、どちらが有利か迷うときは、多くは「どっちが収入が多くなるか」「将来また住むかもしれない」という理由が多いように感じます。
実際どちらが有利かというのは、その方の状況や不動産にもよります。
まずはじめに、売るときと貸すときのシミュレーションをしていきたいと思います。
売却したときと賃貸にしたときの比較
まずは、その不動産の売却した時の予想価格と、賃貸として貸し出したときの予測賃料を算出します。
予想価格や予想賃料は、不動産会社に問い合わせることが一番手っ取り早いですが、まだ検討段階であるときは、以下のWebアプリをご利用ください。
無料で利用出来て、賃料から適正売却価格を計算するロジックになっているので、売却価格の目安と賃料の目安の両方を知ることが出来ます。
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ここでは以下の例を使用して計算していきたいと思います。
モデルケース
物件種別:自宅マンション(築15年)
売却予想価格:3000万円
賃料相場:月9万円(管理費込み)
固定資産税:年12万円
修繕積立金:月1.5万円
売却の場合
3000万円で売却した場合にかかる経費と、利益の計算は以下のようになります。※住宅ローンの残債や譲渡課税はないものとして計算
売却した時の計算
売却価格 3000万円
印紙代 -1万円
登記費用 -1万円
収益 2998万円
賃貸の場合
月9万円の家賃で貸し出して、10年間運用、その後売却をするケース
賃貸のときのケース
賃料合計 9万円×12か月×10年=1,080万円
経費
リフォーム代金 250万円(貸し出すときの投資)
修繕積立金 1.5万円×12か月×10年=180万円
固定資産税 12万円×10年=120万円
火災保険 15万円(10年一括)
募集時の仲介手数料 9万円
収益合計 756万円
賃貸にするときの注意点


賃貸のときは、売却のときと違い、以下のような変動要素を考慮する必要があります。
賃貸で考慮すべき変動要素(リスク)
- 空き室の期間が発生する
- 家賃が値下がりする
- 修繕積立金などの固定経費が上がる
- 地震などの天変地異
- 設備の故障などの突発的な修繕費用
- 売却価格(資産価値)の変動
賃貸では、所有する時間が長くなる分、売却と比べて考慮すべき点が多くなります。
例えば、先ほどのモデルケースで、10年後のマンションの売却価格が2000万円に値下がりしていたら、今売却していた方が得になりますし、空き室になる期間なども考慮すると、収益性は下がります。
たとえ資産価値が下がらず、空き室にならなくても、例えば大地震が来て損壊を受けるケースも考えられます。ちなみに地震保険では契約価格の半分までしか補てんされません。
ここに住宅ローンがある方は金利負担などの費用も発生しますし、管理が煩わしいと感じるのであれば管理会社に依頼する費用として、別途賃料の5%ほどを毎月支払う必要もあります。


売却の方が向くケース
将来的な予測も含めて、どっちが得かという視点はもちろん大事なのですが、その他にも状況によってどちらがベストな選択になるかは変わってきます。






ココがポイント
この記事を書いているのは、ちょうどスルガ銀行やかぼちゃの馬車による、不正融資問題が世間を騒がしている時で、新規のアパートローンが非常に利用しづらい状況になっています。そういう時は住宅ローンへ投資目的の利用目的での申し込みも増えることもあり、特に厳しくなっています。




賃貸の方が向くケース




ココがポイント
将来戻る予定がある時は、貸出の条件を「定期借家契約」にする必要があります。日本では賃借人の権利が非常に強く、期間を定めない契約の場合、借りた人を簡単に追い出すことができません。定期借家契約では期限が最初から定められているので、そういったリスクはありませんが、一般的に賃料は安くなります。


まとめ
不動産を売った方がいいのか、貸した方がいいのか、どっちが得かということは、多くの人が考えることです。
ただどちらが有利になるか、どちらが得するかというのは、状況や物件の状況によって答えは変わってきます。
ただし、今の日本の住宅市場を見る限り、よほど賃貸で持つよりも、売却の方が有利になるケースは増えてくるのではないでしょうか。