不動産市場において、「2020年問題」という言葉があるのはご存知でしょうか?
ご存知の方も、そうでない方も、もし不動産やマンションを売却しようと思っているのであれば知っておいてほしい考え方をお伝えしていきます。
不動産市場における「2020年問題」とは?

あっくん

ミナ

あっくん
「2020年問題」っていうのは、2020年で不動産価格が落ちるといわれえている問題なんだ。

ミナ

あっくん
よくマンションを購入しようとしている人には、2020年まで待った方がいいかと聞かれれば、売りたい人からは2020年までに売ってしまった方がいいのかとよく聞かれるんだ。

ミナ
そうなんですね。でもなんで2020年に不動産価格が終わるといわれてるんですか?

あっくん

ミナ
2020年といえば「東京オリンピック」がありますよね?

あっくん
そう、東京オリンピックがあるよね?実はそのオリンピックが不動産価格のピークで、そのあとに価格が落ちると言われているんだ。

ミナ
そんなのがあるんですね。じゃあこれからマンションを買ったり売ったりする人は迷いますよね。

あっくん
そうなんだよね。ネットなんかでも「不動産は2020年まで買うのは待て」とか「2020年までに不動産は売っておけ」というようなフレーズが並んでいたりするから余計だよね。

ミナ
時期を読み間違えると、損することもありますからね。

あっくん
そうだね。ただ僕はすべての不動産が同じような値動きをするとは思っていなくて、ケースバイケースになってくると考えているんだ。そこで今日は、「2020年問題」に惑わされないための不動産市場の今後の動向について説明していくよ。

ミナ
あ!社長のレクチャーが始まる。ちょっと待っててください。メモの準備をします。
不動産市場における2020年問題は、東京オリンピックを境に不動産価格が下落するといわれています。しかし一律に下がるわけではなく、物件によって値動きは変わってきます。
なぜ2020年の東京オリンピック後に値段が下がるのか?
価格が下がるということは、その前提条件として価格が上がっていることが想定されます。そこでまずは価格が上がった理由とその背景から説明していきます。
不動産価格の上昇の理由は?

あっくん
それではまず、今後の動向を説明する前に、そもそもなんで東京オリンピック後に不動産価格が落ちるといわれているのかを説明していくね

ミナ

あっくん
ちょうど東京オリンピックが決まったとき、日本はどのような状況だったか覚えてる?

ミナ
えっと、確かすごく景気が良くなかった覚えがあります。

あっくん
そう、東京オリンピックの開催が決まったのが2013年の5月だったんだけど、その前に2011年に東日本大震災が起こって、不動産市況は2012年にかけて下落したんだ。今思えばこの2012年の時が底だったね。

ミナ
そういえばそうでしたね。確か2012年に安倍首相になって、そこから円安になったり、株価が上がり始めたりしましたね。

あっくん
そうそう。ちょうど日本経済が底を打って上向き始めたころに、東京オリンピックの開催が決まったんだ。

ミナ
その東京オリンピックがなんで不動産価格に関係してくるんですか?

あっくん
オリンピックが開催されるとなると、各国から人がたくさん来るから、開催地周辺が再開発されて利便性が増すことが多いんだ。実際ロンドンや北京でも同じようなことが起こったんだ。

ミナ
利便性が増すということは、不動産価格にとってはプラスになりますよね?

あっくん
そう。そしてさらに日本はその時は円安に傾いていて、日銀の政策もあって、非常に低コストでお金が調達できる環境だったんだ。そしてそこに目を付けた国内外の投資家が、東京の不動産を一気に買い始めたんだ。

ミナ
それで一気に東京の不動産価格があがったというわけね。

あっくん
もちろん金利も安くなったから、不動産を購入しようとする人が増えたこともある。けど問題は、投資マネーが多く流入したことで、どこかで利益を確定させるために売らなければいけなくなる人が増えたということなんだ。

ミナ
そういう人たちって、自分で住むために買っているわけではないですものね。

あっくん
一気に投資マネーが流入して上がった分、出ていくときも一気に落ちたりする。そしてそのタイミングが2020年のオリンピックといわれているんだ
不動産価格が上昇したきっかけは、東京オリンピックだけでなく、その時の日本の状況や、政府の政策や日銀の金融政策に大きく影響を受けました。
2020年に不動産価格が下落すると言われる理由

あっくん
それじゃあ、2020年になぜ不動産価格が下がるのかを説明するよ。

ミナ

あっくん
2020年に不動産価格が落ちるのにはいくつが理由があるんだ。その中でも一番大きな問題としてとりあげられているのが税金の問題なんだ。
譲渡所得 = 譲渡収入金額-(取得費 + 譲渡費用)
税額=課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
税率の判定表
保有期間 |
5年以下 |
5年超 |
税率 |
39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%) |
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%) |
※自身が住む用の不動産の場合は、有利な優遇税制を受けられます。

ミナ
5年を超えるか超えないかで一気に税率が変わりますね!ほとんど倍!

あっくん
そう。ちょうどオリンピックが決まったのが2013年だから、そのころに勝った人たちが利益のタイミングというのが、2018年から2020年ころに利益確定の売りが増えるといわれているんだ。

ミナ
売り物件が増えるということは、それだけ不動産価格も下落しやすくなりますよね。

あっくん
だけど、最初にも言ったんだけど、だからといって一律に下がるわけではなくて、ケースバイケースによると思っているんだ。その理由についてこれから説明していくね。

ミナ
2020年に不動産価格が下がるといわれているのは、2013年以降に購入した人たちが利益確定の売却をしやすくなるというタイミングからです。他にも東京オリンピックで好材料が無くなってしまうという理由も考えられます。
マンションと戸建は違う値動きをする

あっくん
まず価格の動向を考える上で、マンションと戸建や住宅地の土地などは分けて考えるべきなんだ。

ミナ

あっくん
考えてほしいんだけど、投資マネーってマンションと戸建のどっちに向かいやすいと思う?

ミナ
なんとなく、マンションの方かなと思います。賃貸物件も多いですし。

あっくん
その通り。実は中古戸建てはそれほど相場は変わっていないんだ。一方で中古マンションは2013年から一貫して値を上げている。


ミナ
本当だ!マンションは相場が上がっているけど、戸建はそんなに変わってない!

あっくん
戸建は管理や修繕も全部やらないといけないし、面倒だからあまり投資対象とはなりにくいんだ。だから戸建は実需(実際に住む人の需要)で価格が形成されるから、そもそもオリンピックがどうって話はほとんど関係ないんだよね。

ミナ
じゃあ、2020年に下がるかもしれないのはマンションということになるわけですね。

あっくん
そうなるね。マンションの中でも特に投資マネーが入りやすいのが「タワーマンション」なんだ。だからタワーマンションは不動産ではあるけれど、金融商品と似たような値動きをするんだよ。

ミナ
なるほど。そうなると2020年に価格が下がるかもしれないのは、投資マネーが多いタワーマンションということになるわけですね。

あっくん
そうなるね。ただ僕は価格に与える重大な要素がもう一つあると思っているんだ。ここからは特に影響が大きいと考えられるマンションに絞って話をするね。

ミナ
一言で不動産といっても、マンションなのか戸建なのかによって値動きも変わってきます。マンションの中でも特にタワーマンションは金融商品に近い動きをします。そのことを覚えておきましょう。
マンションの価格に影響する、もう一つの要素
これまで、2020年問題が東京オリンピックを契機に日本の経済状況や金利情勢が絡んで、投資マネーが流入して相場の上昇に大きく寄与したこと。またこれから税金の関係で投資目的で購入した人の利益確定の売りが増えると予想されることで、2020年には価格が下がるかもしれないといわれる理由をお伝えしました。
しかし、これはひとつの側面でしかありません。そしてこれからお伝えすることは、マンションに限らず不動産全般における本質的な話になります。

あっくん
それでは、投資的な側面と、もう一つ価格を決定する重大な要素について説明するね。ところで不動産の価格ってどのように決まるか知ってる?

ミナ
それは、売りたい人と買いたい人との間でまとまる金額ですよね?

あっくん
そう。そしてそのことが一番僕が伝えたいことなんだ。

ミナ

あっくん
不動産の価格は需要と供給のバランスで決まるということ。つまり、売り物件が増えて価格が下がるというのは、欲しいと思う人が少ない状態なんだ。逆に売り物件が増えたところで、それを欲しいと思う人が多ければどうだろう?

ミナ
欲しいと思う人が多いのであれば、価格はそこまで落ちないかもしれないですね!

あっくん
そうなんだ。つまり需要があるマンションであれば、2020年を過ぎても価格が落ちない可能性が高いんだ。

ミナ
そうか!じゃあ売る人が増えても、すべて一律に下がるわけではなくてケースバイケースっていうのは、物件によって違うということなのね!

あっくん
その通り!これからマンションを売りたい人や買いたい人も、本質を見誤らなければ、2020年問題の影響をそこまで受けずに済むんだ。だからこれからも需要がありそうなマンションを持っているのであれば、もう少し様子を見てもいいし、自分のタイミングで売却しても構わないと思う。だけど、これから需要が無くなりそうなマンションをもっているのであれば、2020年問題に関係なく早く売ってしまった方がいいということが言えると思うんだ。

ミナ
なるほど!なんだかすごくスッキリしました。2020年に不動産価格が落ちるなんて、そんなの分かるわけないですもんね!

あっくん
うん、、、少しずれてるような気がしなくもないけど、、、

ミナ
ところで社長。じゃあ一体どんなマンションが早く売ってしまった方がいいの?
確かに2020年ごろに、譲渡課税の税率が低くなるタイミングで売り物件が増えることがあるかもしれない。ただし、重要があるところという不動産のもつ本質的な部分をしっかり押さえておけば大きな問題にはなりません。
これから売れなくなるマンションの特徴
ここからは少し踏み込んだ内容になります。
もしかしたら今これを読んでいるあなたは、マンションを持っていて売却のタイミングを考えているかもしれません。また、これからマンションを購入しようとして迷っているのかもしれません。
どちらにせよ、この考え方はこれから不動産を売買するにあたって非常に重要な考え方ですので、ぜひ一読してください。

あっくん
じゃあ、これから売れなくなる、早く売ってしまった方がいいと考えられるマンションの特徴を説明するね。ただ、あくまで目安であって絶対ではないので、そこだけは理解しておいてね。

ミナ

あっくん
違うよ!不動産は個別性が強いから、一概に判断するのは難しいってこと!
これから売れなくなるマンションの特徴
- 駅から離れている
- 管理状態が良くない
- 現行の耐震基準を満たしていない
- 災害リスクや想定被害が高いエリア
- 冷静に考えて、戸数が多すぎるエリアに建っている

あっくん
これらの特徴にすべて当てはまったら、悪いことは言わない、売れるうちに売っておこう。逆にこれらの条件とすべて逆であれば、今後も需要が見込まれる可能性が高いので、自分の好きなタイミングで売って構わない。

ミナ
なるほど。勉強になります。こんど早速お客さんに話してみますね。

あっくん
期待してるよ。ちなみに本当はもっと細かい条件もあったりするんだけど、それはまた違う機会に教えるね!

ミナ
将来売れなくなるのは、あまり人が欲しいと思えないようなマンションです。逆に多くの人が思えるような物件や環境にあるマンションです。投資マネーは一過性のものですが、需要は一過性のものではありません。本質を見誤らないようにしましょう。
まとめ
日本の不動産市場は、2012年に底をつき、安倍政権が誕生してから上昇に転じました。
そういった中で2013年に東京オリンピックの誘致が決まり、日本の不動産価格が世界的にみてもかなりお値打ちだったこと、また日銀の金融政策による低金利と円安によって、多くの投資マネーが流入しました。
実需以上に投資マネーに左右される相場は、いつか利益確定のタイミングで売りがたくさん出るので下がる可能性があります。
そして2020年というのは、ちょうど2013年以降に不動産を購入した投資家たちが、税金が安くなって売却がしやすくなるタイミングでもあります。
以上のことから2020年の東京オリンピックを境に不動産価格が下がるといわれていますが、一概に下がるわけではありません。
まず投資マネーが流入しやすいマンションと、実需のバランスで価格が形成されている戸建では、値動きも変わってきます。
一般的にマンションの方が投資マネーが流入する分、金融商品に近い値動きをしますが、実際の需要があるマンションであれば、そこまでの影響は考えにくいと思います。
逆に需要がこれから先細りしそうなマンションは、売却しようかどうか迷っているのであれば、早めに売却してしまうのも手かもしれません。
最終的な判断は、実際の不動産業者にアドバイスを求めるとよいでしょう。1社だけだと意見が偏ってしまうこともあるので、複数社から同じ話を聞いて判断していくとよいと思います。